nandemopoem

みのまわりにあるものを詠んだ詩

電子レンジの詩

それは現代の魔法箱、時間の操縦者。
台所の隅に静かに佇み、秒を数え、食物を変貌させる。
この小さな洞窟の中で、分子は踊り、
冷たい残り物が温かな再会へと生まれ変わる。

開けば、その内部は宇宙船の操縦室のよう、
ボタン一つで、光の速さで世界を変える力を秘めている。
冷めたコーヒー、昨夜のピザ、凍ったスープまで、
全てが時間の逆流を経て、再び新たな命を得る。

この箱はただの機械ではなく、忘れ去られた時間の救済者、
忙しい朝や遅い夜に、瞬時に温もりを提供する。
食事の準備という日常の詩を短縮し、
私たちに時間という贈り物を再び与えてくれる。

電子レンジの内部で起こるのは、見えない奇跡。
食材の心臓部を温め、エネルギーを解放し、
その過程で、あたかも時間を編み直すかのよう。
ひとたびそのドアが閉じれば、無数の物語が密かに交錯する。

食べるたびに、この小さな窓から私たちは未来を覗く。
時間を越え、忙しさを超え、即座に満足を得る。
電子レンジは、私たちの日々の生活に寄り添い、
疲れた体にすばやく反応し、必要な瞬間に力を貸す。

そして夜、キッチンの灯りが消えるときも、
電子レンジは静かにその時を待つ、忠実な番人。
明日もまた、私たちの時間を節約し、
私たちの生活に小さな奇跡をもたらすために。
それは、現代の詩人が愛用する、時間と空間の縫い合わせ機、
私たちの食卓に無限の可能性を運ぶ、魔法の小箱。