nandemopoem

みのまわりにあるものを詠んだ詩

ヘッドフォンの詩

静寂の中に生まれる小さな宇宙、それがヘッドフォン。
耳を覆うそれは、世界を遮断し、新たな世界へと誘う扉。
音楽が流れるたび、その内部では星が輝き、
鼓動するリズムに心も身も、ゆっくりと溶け込む。

ヘッドフォンはただの道具ではない、
それは感情の海を航海する船、
時間を超える旅人が持つ、魔法の地図。
バスの震え、高音の閃光、
ボーカルの息遣いが、この小さな空間で生命を得る。

周囲の喧騒を消し去り、静寂を紡ぎだす。
かけがえのない孤独の瞬間、
ヘッドフォンは私たちを内面の旅へと導く。
心の奥底に眠る感情、忘れ去られた記憶が、
音楽の波に乗って、ゆっくりと浮かび上がる。

それは、いつもとは違う自分に出会う場所。
音楽が紡ぐ世界に身を委ねると、
思いがけない発見と出会いが待っている。
ヘッドフォンを通じて、私たちは自由を知る。
束縛から解き放たれ、音の風に身を任せる。

夜の長い旅に、ヘッドフォンは最良の伴侶。
静かな部屋の中、音楽と共に流れる時間。
外界から切り離されたこの場所で、
私は自分だけの物語を、音楽と共に紡ぎ出す。
ヘッドフォンと共に、いつでもどこでも、星を渡る旅が始まる。