nandemopoem

みのまわりにあるものを詠んだ詩

オイルヒーターの詩

冬の静けさの中、一台のオイルヒーターがひっそりと息づく。
部屋の隅で静かに、凍える世界に温もりを紡ぐ。
その存在は目立たないが、その温かさは部屋じゅうに広がり、
冷たい空気を優しく抱きしめるように変えていく。

オイルが静かに流れるその内部で、
時間とともにじわりと熱を生み出し、
まるで冬眠から目覚める生き物のよう。
外は雪が降り積もるかもしれないが、
この小さな守り神がいるおかげで、
部屋の中は柔らかな春のよう。

人々はその周りに集まり、冷えた手を温め、
ほっと一息つく。オイルヒーターは静かにその役割を果たし、
言葉なく、ただひたすらに温もりを提供する。
その温かさは、ただ体を温めるだけではなく、
心まで柔らかく溶かしていく。

夜が深まり、世界が静寂に包まれても、
オイルヒーターはひとり黙々と働き続ける。
まるで、守り人が夜通し灯台の灯を守るように。
部屋の中の小さな光、冬の寒さの中の一筋の希望。

この静かな守り人は、誰にも知られずとも、
その温かさで多くの冬を乗り越えさせてくれる。
オイルヒーター—それは冬の詩人、
静かに、しかし確かに、冬の物語に温もりを添える。