nandemopoem

みのまわりにあるものを詠んだ詩

唐揚げ弁当の詩

唐揚げ弁当は、日常の小さな祭り、
手のひらに収まる宝箱、開けるたびに喜びが溢れる。
その箱の中では、黄金色の唐揚げが主役を張り、
外はサクサク、中はジューシーに、舌の上で踊る。

辛抱強くマリネされた鶏肉が、暖かい油の中で自己を見つけ、
揚げられること数分で、街角のごちそうに変わる奇跡。
一つ一つが、調理人の愛情と技術の証となり、
弁当箱の中で、ほかのおかずと共に静かにその時を待つ。

添えられたごはんは、白いキャンバスのよう。
その無垢な白さが、唐揚げの色彩を一層際立たせ、
ピクルスの緑、梅干しの赤、卵焼きの黄色が、
小さな箱の中で絵画のような調和を成す。

蓋を開ける瞬間は、いつでも特別—
その香りが一瞬にして周囲を包み込み、
仕事の合間、学校の休憩、旅の途中で、
一口ごとに心を慰め、体を癒やす。

唐揚げ弁当、それは日々の喧騒からの小さな逃避、
味覚の楽園への招待状、疲れた心への慰めの詩。
食べるごとに、世界は少しだけ明るく、広く感じられる。

手軽ながら豊かな食の喜び、
毎日の小さな特別を形作る、調理された愛の具現。
一箱の中に、ふとした幸せが詰まっており、
その一つ一つの噛みごたえが、日常に彩りを加える。