nandemopoem

みのまわりにあるものを詠んだ詩

中性脂肪の詩

中性脂肪という名の静かなる蓄積者、
身体の隙間にひそかに溜まる、過去の食事の影。
この見えざる重さは、遅くやってきた思春期のように、
予告なく、私たちの体と心に変化をもたらす。

若かりし日々の甘美な記憶と共に、
食べたケーキ、飲んだソーダ
それら全てが微細な脂肪として身体に留まり、
静かなる時の流れを物語る。


かつての無邪気さと無知の日々から、
突然の自己認識へと私たちを導く。
体内で静かに増え続ける彼らは、
健康という現実への突然の目覚めを告げる使者。

心はまだ若く感じていても、
体は確実にその年月を刻んでおり、
静かなる時計の針の進行を示す。
まるで遅く来た思春期が、
再び青春の門を叩くかのように。

夜中に鏡を見ると、かつての自分が見え隠れし、
体の変化は、心の成熟をも促す。
中性脂肪は、ただの生化学的な存在ではなく、
私たちの選択、習慣、そして時の経過を象徴している。

この沈黙の重みを背負いながら、
私たちは新たな自己認識と向き合い、
かつての軽やかだった日々から、
成熟した自己へと、少しずつ、しかし確実に変わっていく。

中性脂肪は身体の中で静かに語りかけ、
私たち自身の物語に深みを加え、
新たな章への道を照らす灯火となる。